AA1:ギャラリーへの売り込みも、最初は大変だったんじゃないですか? 学校の話の続きみたいになっちゃいますけど、こっちの方はビジネスですから、人間関係の方も相当ストレスフルだと思うんですが。
MY:そうなんですよね。アーティストはアートを作ってればいいだけじゃなく、営業もしないといけないっていうのが、ちょっと………。やはり商業的ですよね。でも顔つなぎは大切だし、ギャラリーのオープニングは毎週のように行ってます。LA中のギャラリーをハシゴしますよ。1つのギャラリーに10〜15分いて、車に飛び乗って次へ移動するような具合。作品を見るというより、本当に顔つなぎのためですね。おかげで知り合いも増えましたけど。ギャラリーのコマーシャルな部分に疲れた時に、学校に戻れるのはいいですね。学校だったら、誰にも遠慮せず好きなもの作れますから。

AA1:MICHIKOさんは、アートを作ることが存在意義だと胸張って言えるアーティストだと思うんですけど、本当の理解者と根性がないと、アーティストなんてやってけないと思うんですよね。あと、お金。やっぱ生活しなきゃならないわけですから。
MY:いま住む所と食べるものはある…。
AA1:根性もある。理解者もできた。
MY:そう、それは強いですね。家族がアートに対してちゃんと向き合うようになってくれ、アートの意味を理解してくれてます。前は“アート=楽しいこと”して文句言うのは言語道断みたいな雰囲気がありました。本に選ばれたり売れてきたというのも大きいですね。私なりに苦労もあったんですけど、いまはすっきり。「アートに癒された」という部分がものすごくあるんですよ。
  ある日、家族に言ったんです。「私は売れるものを作りたいんじゃなくて、アートを作りたい。家庭には悪いけど売るのは二の次、どうでもいい」と。同じ事をアメリカ人のアーティスト仲間に言ったら、「それは理想論で、実際は無理。売れないとギャラリーもつかない」って言われたんですね。でも私はそれじゃダメなんです。私にとってこれは理想なんかじゃなくて、真剣な、すっごい現実なんですよ。
AA1:Identityだもんね。
MY:そう。それで家族に「私はアートをやってるんであって、お金のためにやるとかそういう邪念を排除しなきゃいけない。アートを作りたい」って訴えるように言ってみたら、「もちろん!」って答えが返ってきて。「ええーっ!?」って私の方がびっくりしました(笑)。今は家族も「自分が犠牲にならなきゃいけない」って思ってるんじゃないでしょうか(笑)。
AA1:アートがすべてを動かしてきた感じですね。やっぱ、アート、大事。
MY:私は毎日、何をしていても誰と話していても、結局アートに関係することしかしてない・話してないなあと最近気づいて、笑ってしまいました(笑)。ものづくりは、何て言うのかなあ、あのう、セラピーみたいなもんですよねえ。自分にたまってるもの、言いたいことっていっぱいあるんですけど、日本の社会の中では誰もわかってくれないし、言っても女友達には「なに怒ってるの?」って言われちゃう(笑)。男社会の中での不満もある。かと言って自分が何かに長けているわけでもなく、主婦みたいなもんなんで説得力がないわけですよ。もう話せない、会話が全然通じないんですね。
 だから、最初に作り出した時は、自分のすっごい訴えたいことをガーッと吐き出すみたいなところがありました。それからアジア哲学を勉強して、色々わかって、癒されて、精神的にとても落ち着いてきた時、今度は逆に「アート自体を作る必要があるんだろうか?」と思い始めたんです。ギャラリーへの営業やコマーシャルな面もヤダなあと感じていたし、好きなものを好きに作ってるだけでいいんじゃないか、と迷い始めたんですね。
 でも、私はもっと自分の経験を人とシェアしたい、コミュニケーションしたい、そういう意味で「やっぱりアートを作り続けなきゃいけない」という、また新たな目的が生まれ、今は覚悟が決まってます。私の意図した通りに作品が受け止められなくてもいいんですよ。その人にはその人の人生があり、その人と作品との関係なので。
 そういえば、友達のボーイフレンドが私のりんごの作品を買ってくれたんですけど、ずうっと眺めてるらしいんです。それで、何か変わったらしいんですよ。

AA1:おお。
MY:彼はあまり喋らない人なんです。仕事でストレスたまってくると、彼女(友達)には何も言わず溜め込んで、でもある日突然爆発してしまう。ところがね、友達いわく、私の絵を買って以来、ストレスをためなくなったって言うんです。
AA1:もしかしたら、MICHIKOさんの影響で絵を描き出すかも。
MY:ただのりんごの絵なのにね。
AA1:微々たるものかもしれないけど、アートには物事を変える力が絶対あるんですよ。究極は、世界平和だと信じたいもん。
MY:不思議ですよね。
AA1:今後もガンガンいきますか?
MY:いきます。落ち着いて、守りに入っちゃいけないと思うんです。バレる人にはバレバレですから。それでね、絶対、何があっても諦めちゃいけないなと本当に思いますね。何があるかわからないから。そこがアメリカと日本の違うところで、アメリカは、本当に何かやりたい人には、道を開いてくれるところですよ。
AA1:勇気の出る発言だ。                           



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