ピーター・ジャクソン監督の下、撮影中はスタッフ全員(エキストラやケータリングに至るまで)がJ.R.R.トールキンの原作コピーを持参し、時間があるごとに読み返していたというのは、有名なエピソード。この熱心さが、原作の言語迷宮を映像3部作にまとめあげるという途方もない作業を可能にしたわけだ。しかし、花も実もある絵空事としての壮大な物語を映像記号に転換するには、優秀な職人やCGアーティストらの丹念で精巧な手仕事が必要不可欠。今展では、ミスリルベストや光の小瓶など主要キャラクターのキー・プロップはもちろん、スクリーンに映らずとも各シーンで全ての出演者(白黒両方の勢力)に使用された鎧兜や馬の鞍、剣など、まさに職人たちの技の粋を集めて作られた小道具・美術デザインが勢ぞろいしている。
 構成は、ジャクソン版「LOTR」中つ国(Middle-Earth)の文化や種族を復習できるよう、10の展示セクションとインタラクティブ・セクションに分かれる。ホビット族の村シャイア・コーナーでは、フロドとサムの家のセット、ミスリル・ベストほか小道具などを陳列。魔法使い・セクションでは、ガンダルフとサルマン、ガラドリエルに関するプロップを展示。還暦をとうに越えたクリストファー・リー演じるサルマンと、イアン・マッケラン演じるガンダルフの死闘場面(1部「The Fellowship of the Ring」)は、各老体をこれでもかと痛めつけるような老人力炸裂シーンだったが、これがどうやって撮影されたかも種明かしされている。
 映画のメイキングを見るのは、時として本編以上に興味深いが、木の髭(Treebeard)やゴラムがいかにして生み出されたか、スタッフとキャストの製作裏話などEPKもじっくり披露。ノーマル・サイズのアクターをどうやってホビット・サイズに見せるかという問題を解消した、「Forced-Perspective」セットもお目見え。人間の目の錯覚の原理を利用して作られたもので、来場者は実際にこのセットの中に立って写真撮影できる。展示は来年1月3日まで。問い合わせは、Indiana State Museum、電話317-232-1637、http://www.in.gov/ism/   同展はロンドン、シンガポールなどを巡回予定。


インディアナ州立博物館
650 W. Washington Street.
Indianapolis, IN 46204
317 232 1637

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